仏具のデザイン研究所とは?

仏具のデザイン研究所とは?

使う道具として、
今の時代に必要とされる仏具を作る。

使っている状態での美を求める

飾りではなく、使う道具としての、今の時代に必要とされる仏具を作りたい。

この思いを叶えるために、仏具のデザイン研究所は誕生しました。現代の生活様式や住環境に調和し、気持ちよく使っていただける仏具を作り、皆さまにご提供させていただくことが私たちの活動の目的です。そしてその目的を達成するために、「今の時代に人々に使っていただける仏具とは、どのようなものか?」という問いを続けています。「研究所」と名乗るのは、この問いの答えとなるデザインの研究を行っているからです。

研究範囲は、「仏具とはそもそも何か」という根本的なテーマから始まり、仏具と仏壇との調和や、現代の住宅との関係、人々の生活と仏具、仏具の製造技法や素材の研究、そしてもちろん仏さまについて、ご先祖さまへの思いについて、などなど多岐に渡ります。

最もわかりやすい例を挙げれば、現在の仏壇は、住空間の変化や人々に好まれるデザインの変化などから、シンプルでコンパクトなものが増える傾向にあります。しかし、そうした仏壇の変化に適合した新しい仏具は、まだあまり提供されていないのが実情ではないでしょうか。私たちはまず、現在の新しい仏壇に適合する仏具のデザインについて研究し、製品開発を行います。

ここでいう適合とは、一つには仏壇と仏具のデザインが適合することであり、そこに調和のとれた美しさが表れることでもあります。しかし、決してそれだけではありません。仏具の道具としての使いやすさが十分に考慮され、使う道具としても適合していなければなりません。また、仏壇と仏具のデザインが調和した美しさを求めるにしても、私たちは花を供え、ローソクを灯し、線香を焚いた状態、つまり使用している状態を想定して検討を重ねます。そうでなければ道具としての仏具の意味がなくなってしまうからです。

仏教があり仏壇があり、そこに仏具がある

仏教があり仏壇があり、そこに仏具がある

私たちは、あくまでも「仏具は使うための道具である」という前提にこだわります。そしてその上で、今の時代が必要としている新しい仏具を追求しているのですが、新しい仏具を追求するためには、既存の仏具の概念にとらわれない新鮮な発想も必要となります。そこで、仏具に先入観を持たない、さまざまな分野で活躍している多彩な才能を持ったデザイナーが集まり、上記したような多岐に渡る研究を積み重ねてきました。

その研究と準備に費やした期間はおよそ3年になります。そして、この2014年6月より、仏具のデザイン研究所は本格的に活動を開始しました。これからもさまざまな研究を続けながら、既存の考え方にとらわれない革新性を持ち、かつ仏具としての使いやすさも兼ね備えた製品を作り続けてまいります。

さらに、仏教があり仏壇があり、そこで使われる仏具があるという観点から、暮らしの中で仏壇に向き合う仏教の教化についても、将来的には貢献できるようになりたいと考えております。

研究所の
メンバー紹介

仏具のデザイン研究所のメンバーは、デザイナーをはじめとして、仏具の企画・製造・販売を手がける人、プロデューサー、アートディレクター、ライター、カメラマンなど多彩な顔ぶれが集まり、勉強会を開いたり、工場見学をしたり、情報交換しながら、暮らしの中の仏具について、研究を続けています。

トラフ建築設計事務所 デザイナーTORAFU ARCHITECTS

トラフ建築設計事務所 鈴野浩一と禿(かむろ)真哉により2004年に設立。建築の設計をはじめ、ショップのインテリアデザイン、展覧会の会場構成、プロダクトデザイン、空間インスタレーションなど多岐に渡り、建築的な思考をベースに取り組んでいる。主な作品に「テンプレート イン クラスカ」「NIKE 1LOVE」「港北の住宅」「空気の器」「ガリバーテーブル」など。「光の織機(Canon Milano Salone 2011)」は、会期中の最も優れた展示としてエリータデザインアワード最優秀賞に選ばれた。

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山口英文 デザイナーHidebumi Yamaguchi

山口英文 1965年東京生まれ。1990年多摩美術大学卒業後、富士通株式会社にて、情報機器の商品開発に従事する。
その後、OUZAK DESIGN勤務を経て1998年よりフリーランスとして活動を開始。現在、株式会社Caro代表取締役。情報機器のデザイン提案を中心に、照明、食器、ステーショナリー等のプロダクト開発に取り組んでいる。 (財)日本デザイン振興会グッドデザイン賞、Red Dot Award(ドイツ)受賞。

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山田佳一朗 デザイナーKaichiro Yamada

山田佳一朗 1997年武蔵野美術大学を卒業後、同研究室助手を経て2004年よりKAICHIDESIGNを主宰。考える人、作る人、伝える人、使う人と共に考え、関わる人が生き活きと生活できるよう活動している。
主な活動にKOTORI(アッシュコンセプト)や酒器だるま(セラミック・ジャパン)、クモノス(かみの工作所)等のプロダクトデザイン、角館伝四郎やSAYOのブランディング、EDITORYのインテリアデザイン等。

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尾崎恵梨子 コーディネーターEriko Ozaki

尾崎恵梨子 1988年生まれ。大学で日本の伝統工芸と鋳金技法について学び、 2012年に株式会社 本保に商品企画として入社。金属製仏具を 中心として、木工、ガラス、陶器など様々な素材と技術を用いた 製品開発を担当しています。日本の工芸の高い技術を守りながら も、これからの時代に向けて技術の発展が望めるような製品開発 を目指しています。

大友 学 アートディレクターGaku Otomo

大友 学 「デザインは目的を具現化するための道具」というスタンスのもと、プロジェクトそのもののプランニングから、プロダクト・グラフィック・パッケージ・空間等のデザイン実務を行っています。必然性を前提とした「モノのありかた」を指向しながらも、デザイン自体が持つ 曖昧で感性的な面白みもまた、魅力の軸として活かしていく。そんなスパイスが利きつつ、味が整ったクリエイションを志向しています。 stagio inc.(株式会社スタジオ)代表。

関口 哲 ライターAkira Sekiguchi

関口 哲 仏壇仏具業界などの仏教や宗教に関わる産業界や、伝統仏教教団などの宗教団体に関連した刊行物を発行する出版社の編集部に勤務した後、フリーライターとして独立。
出版社に在職中は、取材記事執筆、編集業務、広告制作などに携わる。独立後は同業務を継続しながら、出版物や広告の企画・コピーライティングなどへ活動領域を広げ、企業の社史や行政機関の発行物の執筆、大学の広報業務に至るまで分野を問わず幅広く手がけている。

阿部良寛 カメラマンRyoukan Abe

阿部良寛 1976年東京生まれ。立教大学文学部史学科卒業後、映像系専門学校を経て、2001年より株式会社OMNIBUS JAPANポストプロダクション制作技術部テレシネ課に勤務。2004年よりフリーランス・フォトグラファーとして活動を開始。ヘッドホンや食器、ステーショナリー、家具など様々なプロダクトの物撮りを中心に、ポートレート、建築、インテリアなどを撮影。広告、雑誌、カタログ撮影などで活動中。主な仕事に株式会社オーディオテクニカ 広告など。

萩原 修 プロデューサーShu Hagiwara

萩原 修 1961年生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。大日本印刷株式会社、リビングデザインセンターOZONEを経て独立。日用品、住宅、店、展覧会、書籍などの企画、編集、プロデュース、ディレクションを手がける。「つくし文具店」「コド・モノ・コト」「かみの工作所」「中央線デザインネットワーク」などのプロジェクトを推進。著書に「9坪の家」「デザインスタンス」など。2014年から明星大学デザイン学部教授。
http://www.shuhenka.net/

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